マタイ5:4(마태복음)　　　　　　　慰め(위로)　　　　　　　　　　　　　



  　　キリスト教の二本柱
　　キリスト教には二本柱があります。一つは、イエス・キリストの復活です。イエスが三日目に死人の内より甦ったことによって、イエスご自身が真の神であることを明かにしました。そしてイエスの復活を体験した弟子たちは、復活されたイエスを宣べ伝えました。その信仰を土台にして、キリストの教会は建てられました。
　　
  　今日においても我々は復活の信仰を持って、イエスを信じているのです。イエスが死から勝利したように、私たちも死からの勝利を確信しております。我々も永遠の天国で、とこしえに生きて行くことを望んでおります。これが我々にとって、「復活信仰」です。

　　もう一つの柱は、イエス･キリストのお生まれという、クリスマスです。インカーネーション、すなわち受肉されたイエスにキリスト教は始まりました。我々のためにこの地上に来られ、我々の救いのためにイエス･キリストはお働きをなさったわけです。キリスト教会は、この二本柱によって支えられております。ですから、当然、我々が宣べ伝えるのは、イエス･キリストのお生まれと復活の福音なのです。教会の土台と我々の信仰の根拠はイエス・キリストなのです。

　　ユダとペテロ
　　イエスの弟子の中で一人であった、イスカリオテのユダ、ユダはイエスを裏切った人でありました。後、ユダは自分の行動について悩んで、自分の犯した罪に対して死の選択しかないと思い込み、自殺しました。

　　イエスがユダヤ大祭司の屋敷の中庭でユダヤ人たちに、もてあそばれ、いやしめられた夜、イエスの弟子であったペテロは、そこにいました。ペテロはユダヤ人たちに「お前もイエスの弟子の一人ではないか」と言われた時、彼は「いいえ、違う」と打ち消しました。ところが、ペテロは自分がイエスに対して犯した罪をはっきりと認め、激しく泣き、悔い改めました。

　　イエスを裏切ったユダ、イエスを人の前で完全に否定したペテロ、二人とも罪を犯しました。犯した罪の内容は、違ったわけなのですが、また、人間の眼には罪の内容が少し異なるように見えますが、神様の御前では、同じ罪を犯しました。しかしながら、二人の結論は異なったわけです。ユダは永遠に戻れなこへ自ずから落ち込んで行きましたが、ペテロは3000人、5000人を神へと導き、悔い改めさせ、洗礼を授けた偉大な使徒となりました。ペテロはイエスの御言葉に従って悔い改め、また悲しみしましたが、ユダは自分の罪を自分の力で解決しようとしたのであります。これが二人の差であったと言えます。

　　聖書的な悲しみの意味
　　ペテロのように、私たちが悲しむ人となるのは、神様のみ旨だと言えるのです。それは「悲しむ人々は幸いである」と聖書は教えているからです。なぜ、聖書は私たちに「悲しむ人になりなさい」と教えているのでしょうか。

　　「悲しむ人は幸いです。その人は慰められるからです」とイエスは言われています。ここで我々が何を悲しむべきなのか。主が私たちに望んでおられる「悲しみ」は一体どういうことなのか。イエスが教えている悲しみとは何か、という問題が出てきます。そのような問い掛けに、イエス・キリストは、私たちに、まず私たち「自身の罪」について悲しむべきだ、と言われているのです。

　　十字架に付けられたイエスに従った多くの人々は、泣きました。イエスが可哀相に見えたので、彼らは泣くしかなかったのです。その時、イエスは「私のために泣くな。むしろ自分と自分の子供たちのために泣け」(ルカ23:28)と、イエスに従った婦人たちの方を振り向かって言われました。

　　「自分のために泣け」とは、「自分のために悲しみなさい」という意味ではないか、と思います。またこれは「我らの罪をも赦したまえ」という主の祈りとその意味が通じると思います。私たちが毎日犯す罪についてペテロのように悟り、主の御前で泣くこと、これが「悲しみ」です。

　　しかし、私たちの「悲しみ」はここで止まってはいけないのです。私たちの信仰は共同体性というものです。なぜかと申し上げますと、「聖なる民に属する者は神の家族」である(エペソ2:19)と聖書は、教えており、また我々、キリスト者は聖霊によって一致された者であり、だから私たちの信仰は一つです(エペソ4:1‐6)、と教えているからなのです。

　　「私のために泣くな。むしろ自分と自分の子供たちのために泣け」、というイエスのみ言葉には、「他の人のために悲しみなさい」ということも含められると思います。イエスは「我らのつみをも赦したまえ」というように祈りを教え、そして十字架で神様に向かって「父よ、彼らをお赦して下さい」(ルカ23:34)というように、人々のために泣き、悲しみました。

　　マタイ23:37以下にイエスの悲しみが出てきます。「めん鳥が雛を羽の下に集めるように、私はお前の子らを何度集めようとしたのか」と言われました。イエスはエルサレムを愛されたのですが、エルサレムに住む人々、彼らはイエスの愛に応じようともしなかったのです。イエス・キリストのように、他人のためにも悲しむこと、このようなイエスの心が、聖書が教えている「悲しみ」の意味なのです。

　　「慰め」とは：イエス・キリスト
　　このように悲しんだ人にイエスは祝福をお与えになりました。それは、「慰め」なのです。なぜ、私たちがいつも喜ぶべきなのでしょうか。どうして、キリスト者はいつも喜びの中で生きているのでしょうか。それは、イエス・キリストが私たちと共に居られるからなのです。そうしたことこそ、私たちに慰めとなるのです。聖書のメッセージの核心は、イエス・キリストが私たちと共に居られるために来られた、ということなのです。この歴史的な事実こそ、罪人である私たちに慰めとなるのです。

　　ナザロの復活
　　ヨハネによる福音書を読んで見ると、ナザロの復活の箇所が出て来るのです。彼は、病気で既に死んだ人間だったのです。イエスが彼のところ、ベタニヤに行った時には、ナザロは墓に葬られて四日目になった時でした。人間のもつ常識で言えば、ナザロが甦られる可能性は０パーセントです。哀しみや絶望のただ中に、イエスはナザロの家族を訪れたわけなのです。そしてイエスは、死んだナザロを復活させました。この物語は何を意味するのでしょうか。このイエスの奇蹟をどう解釈すべきでしょうか。我々が絶望や哀しみに巻き込まれていても、さらに、絶望のきりぎしに負われていても、イエス・キリストが共に居られると、哀しみは喜びに変えり、そこから自由になるのだということではないでしょうか。イエスは死んだナザロを復活させる奇跡を通して、ナザロの家庭に慰めを与えられたのです。イエス・キリストと共にいると、その場、その時に「慰め」が与えられるのです。

　　世間は慰めを与えない
　　最近我々はは色々なニュースに接しております。けれども、ニュースとか、この世は私たちに慰めより、悩みばかりもたらせています。２－３年前の出来事だと覚えておりますが、有名な歌手松田聖子さんの離婚記者会見などを見たことがあるのです。それをみて感じたことは、人間が慰めであると思っているものは、実に不安定で、不確実で、いつまでも続くのか、もつのか、私たちには、全然分からない、ということだったのです。世間は私たちに慰めを与えない、否、与えることも出来ない、ということだったのです。私たちにおいて真の安らぎは「ただ、イエス・キリスト」しか、いないのです。彼が「私たちと共に居られること」こそ「私たちが信仰をもってイエスと共に生きていくこと」こそ、私たちに慰めとなるのです。

　　ハルト（１７１２－１７６８）という詩人の詩
　　我が友イエス

　　我がともイエスよ。悲しみしらせ
　　豊かに富ませて。ひくきをたかめ
　　とらわれしものよ。よろこびつとえ
　　我がともイエスよ。弱気をつよめ
　　見えぬ目　開かれ　病を癒し
　　死になる者らの　命なりし

　　み言葉と共に
　　次に、イエス・キリストの慰めは、「御言葉」を通して与えられるのです。イエスの復活のことについて聞かなかったエマオに向かって歩いた二人の弟子に、イエスは彼らと共に歩み、共に泊まり、共に食事をし、そして聖書のことを教えて下さったのです。最初は、なぜかこの二人の弟子は、自分達と共に歩いている方が、イエスであることを知らなかったのですが、イエスから聖書のお話を聞き、彼らの心は燃え始め、新しい希望を持ち、エルサレムに戻りました。イエスの説教が彼らの目を開いたのです。

　　絶望を持ち、自分達の故郷に戻ろうとした時、イエスはみ言葉で、彼らの心を癒されて下さり、彼らに明日への勇気を与えられたのです。彼らはイエスのみ言葉で、慰められたのです。先ほど申し上げましたように、キリストは、私たちと共に居られることを通して、私たちに慰めを与えられるのです。それと共に、主はご自身のみ言葉を通して、また証しを通して、さらに説教されたみ言葉を通して、慰めを与えるお方なのです。それを通して、明日への希望、未来に対する望みを、苦難を乗り越えることが出来る力を与えるのです。

　　聖徒の交わりを通して
　　最後に、神様の慰めは聖徒の交わりを通して与えられるのです。キリストの慰めは、時には超自然的なみ業を通して、与えられるのです。例えば、病気が癒されたり、現代医学では治療ができない病が治ることなのです。こうした出来事は人間に理性では理解できない事柄であるし、我々の知恵では説明できないことなのです。それゆえ、このような出来事を奇跡と言うわけなのです。また、神様の超自然的な慰めであると言えるのです。

　　ところが、聖書によりますと、神様は人間を用いられまた私たちに慰めを与えるのです。それは、人間が十分理解できる形を通してなさる神様のみ業なのです。それが、聖徒の交わりです。詩篇１３３編にこういう言葉が書かれております。「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵、なんという喜び」と。共に座っていることは「聖徒の交わり」を指すのです。言い換えれば「教会」を指すのです。それ自体がキリスト者にとって「神様からの恵」であると、さらに「神様からの喜び」だと聖書は、教えているのですね。「教会」は慰めの場となるべきなのです。教会は罪人が来て、癒されるべき場となるべきなのです。さらに、我々は一人一人が神様の慰めの道具だということを忘れてはいけないのです。我々の教会が「敷居が高い教会」となってはいけないのです。もし、我々の教会が、「敷居が高い教会」であるならば、それは教会としての本来の使命を失った一つの人間的な宗教的集団に過ぎないと言っても過言ではないでしょう。誰でも、どんな人間でも主にあって交わりが出来る、そうした場を作っていくべきなのです。イエス・キリストが我々を喜んで迎えてくださったことと同じように、イエスご自身が喜んで罪人の友となってくださったことと同じように、我々もそうのような交わりの共同体を作るべきであり、そのためには喜んで自分を神様に捧げなければならないのです。キリスト教の信仰というものは閉鎖的なものではなく、またキリスト教の教会というのは、人間の宗教的感情を満足させる集団ではないからです。

　　神様の慰めというのは、イエス・キリストの体であり、贖罪の場である「教会」を通して与えられる神様恵なのです。教会の中でのキリスト者の「聖なる交わり」を通して、さらに「隣人の信仰やその証し」を通して与えられる祝福なのです。聖なる交わりの「聖なる」というのは、神様の人格を表す概念です。レビ記１９：２節で神様は「　　　」と仰せられました。我々の交わりを通して、神様の人格が表さなければならないのです。隣のキリスト者に神様の人格を感じさせなければならないこと、つまり、小さなイエスとなるべきである、ということなのです。それが本来の交わりです。そうした人たちの集まりが教会である、ということなのです。教会の存在の意義とキリスト者として指名された我々の存在の意義は、ここにあるわけなのです。

　　「悲しむ人は幸いである。その人は慰めらるからである」。主の十字架の慰めが皆さんと共にあるように、お祈り申し上げます。