マルコ３：１３－１９　　　　イエスの招き(예수의 부르심)

  人間を用いる神様
  神様は人間の通してご自分の御業をなさいます。これは神様が人間を用いてご自分の救いの御業を完成する、ということを意味すると思います。神様は人間を神様の道具として選び、ご自分の御業を任せます。それは人間にとって神様に栄光を捧げることとなるのです。神様はご自分の御業をなさるとき、その時代と状況にぴったり合う人間を選び、彼をご自分の共同体の指導者とし、多くの人々に益を与え、そして神様の共同体を導かれます。

  ところが神様はご自分が選んだ人間にすぐ神様の御業を任せません。神ご自身が選んだ人間が神様の者として働くことができるまで、彼を訓練させ、長い間苦しみや、苦難の時代を経らせるようになさいます。これは神様に選ばれた人間が神様の働き人として、神が願う僕として完全に変わることを意味するのです。神様に御旨にそう相応しい者となることを意味するのです。人間が神様のために自分のすべてを放棄することができ、それによってただ神様のみ満足するまで、神様は人間を訓練するのです。

  神様の民であるイスラエルがエジプトで奴隷として苦しんでいたとき、神様は彼らを救われるために、モーセを選び、彼の働きを通してイスラエルを救われました。モーセは、エジプトの王であるパラオの娘の子として宮廷で教育を受け、成長しました。こうしたことは彼が、人間が楽しめる最高のレベルの生活を過ごしたと意味するが、しかし彼の人格と生活の姿は、神の僕として相応しいものではありませんでした。

  周知のように、モーセは最初に民族主義者として聖書の舞台に登場するのです。これは、彼の中では自分がヘブライ人という民族意識があったこと、また彼が自分の民族を愛する人間であったことを意味するのです。彼がエジプト人を殺す場面から窺うことができることは、温厚な人格の持ち主とか、あるいは慈しみ深い人間である、そういったことではありません。彼は血気盛んな者であったのです。どんなに素晴らしい教育であっても、人間の人格はそうした知識中心の教育によって形成されることはできないし、また生まれながらの人格を変えることもできないのです。最高レベルの学部を卒業したとしても、それ自体が神様の僕として働くことを決定する「条件」となることは言い難いのです。神様の僕となるためには「神様の学校」で訓練を受けなければなりません。

  モーセは四十年間荒野で自分と自然環境と戦うこととなりました。宮廷でいわゆる知識人らに取り囲まれて生活してきた彼にとって、荒野で孤独と戦うことはあまりにも容易なことではありませんでした。そこで神様がモーセに求めたことは「自己否定」だったのではないでしょうか。自分の「プライド」を棄てることでした。荒野での四十年間、閉じ込められた時期はモーセにとって無駄な時間ではなく、神様の道備えであって、彼が神様の僕として相応しく生まれ変わる一時だったと言えるのです。モーセはそこで「自己否定」を通して「神の知恵」や「神の力」を与えられ、イスラエル共同体の指導者となりました。これが神様の方法です。

  四十日間断食をなさったイエス・キリストは、共に宣教の御業を全うすることができる十二名の弟子たちをお選びになりました。イエス様はガリラヤ湖のほとりで漁師であるペテロとそのである兄弟アンデレをお呼びしました。「私について来なさい。人間をとる漁師にしよう」と。この世の人々の目から考えてみると、漁師はあまりよい仕事ではないと言えるでしょう。しかし、イエス様はそうした漁師らを選ばれたのです。イエス様の弟子の選び方は人間的な基準ではありませんでした。我らの常識をはるかに超えたものであり、相対的な考え方を持って生活している平凡な我らの知識では理解できないものでした。

  こうした理解をもって我らの目を本日の箇所に向けてみましょう。そこにはイエス様が弟子たちを選ぶ目的、その根本的な理由、さらに弟子のアイデンティティーがよく書かれております。この箇所を我らは次のように考えられると思います。

　キリストが願う者
  まずイエス様はご自身が願う人を弟子として選ばれたということです。すなわち弟子とういのはイエス様のお働きに必要な人間であったのです。十三節を読んでみましょう。「さて、イエスは山に登り、ご自身の望みになる者たちを呼び寄せられたので」と記されているのです。

  イエス様の「弟子」というのは、イエス様ご自身がお望みになった者です。イエス様の働きに必要な者です。十二名の弟子らは皆、出身、職業、考え方あるいは価値観、学歴などが違う人々でした。キリストの弟子らは、十二名で一つの共同体となるのは大変難しい、互いにパトナー意識をもつことをも難しい、そうした人間たちの集まりでした。また彼らの出身などを詳しく分析してみると、その当時のエリートとして認められていた人々はあまりおりません。先ほど申し上げましたように、こうしたことはイエス様の常識は我らの常識をはるかに超えるものであったことを意味するのです。言い換えれば教会はえらい人々ののみの集まりではないということでしょう。とにかく、イエス様に召された人は誰でもイエス様の弟子となるということなのです。弟子になるのは人間の希望とは関係のないものです。

  イエス様はこの地上でのみ弟子を呼んだのではありません。昇天なさった後もイエス様は弟子を呼びました。パウロという人をイエス様はお望みになりました。イエス・キリストはパウロがキリストの福音と教会のために用いられたことを求めたのです。使徒の働き９：１５－１６をみますと、イエス様はパウロについてこう言われています。「パウロは私の名を伝えるために、私が選んだ器である」、また「彼は私の名のためにどんなに苦しまなくではならないか」と。イエス様の御旨はパウロがキリストのためい生涯を過ごすことであり、苦難の道を歩むことでした。そうしたことを通してキリストの教会を建てることでした。

  とにかく私たちが覚えておくべきことは、キリストの弟子となるのはイエスの招きによるものである、ということなのです。そこで私たちに要求されることがあると言えるならば、それはただイエスの招きに従順することなのです。弟子とうのは、イエス様がお望みになる者であるからのです。

　弟子とともに居られるイエス・キリスト
  次に考えられることは、主イエス・キリストはご自身の弟子らと常に共に歩んでくださる方である、ということです。一四節にこうしたことが書かれておりますね。「そこでイエスは十二弟子を任命された。それは彼らを身近に置き」と。これは「弟子たちをご自分のそばにおくため」です。すなわちイエス様が弟子らと共に歩んでくださることを意味するのです。

  ここで一つの疑問が出てくるのです。それは、どうしてイエス様は弟子らと共にいてくださるのだろうか、ということなのです。その答えは簡単なことです。イエス様のお働きのために、また神の国のために、福音を宣べ伝えるためです。
イスラエルの指導者の中で、ヨシュアという人がいました。彼はモーセがいなくなった後、イスラエルの指導者となったのですが、聖書によるとその時からヨシュアの心には恐れ、おののきもあったということです。その時神様は「あなたの神、主はあなたと共にいる」と言われました。それは神様からの配慮でした。勇気つける言葉でした。神様がヨシュアと共にいてくださる大きな理由は、神様ご自身のためですね。神様の救いの働きを完成するためです。ヨシュアの個人の出生、あるいは富や名誉のためではありませんでした。

  ところが、神様が共にいてくださった人々、信仰者、弟子らは皆神様から祝福が与えられたのです。言い換えれば神様と共にいることは、人間にとって成功となり、繁栄となるのです。ヨシュアに神様は「その行く先々で栄え、成功する」と仰せられましたが、神様がおっしゃった通りに、ヨシュアの人生は成功した人生でした。それはヨシュアが神様の律法を忠実に守ったからではありません。その原因は、神様が共に居られたからです。

  私は個人的に聖書に出てくる人物の中で、ヤコブが一番好きです。私は自分の子供たちがヨセフやダニエルのような者になってほしいです。聖書を注意深く読んでみると、ヨセフやダニエルは、神様の者として完全な人生を過ごした人物として描かれております。これが私の願いであり、また祈りの課題です。けれども私はヤコブが好きです。それは、ヤコブの人生を通して、神様の恵みを体験することができるからです。

  ヤコブの人生は「恥ずかしい人生」と名づけられると思います。いつも嘘をつく人生であったのです。ずるい人間の代表的な人物だったと思います。創世記３０：３７－４３をみると、ヤコブの人格を知ることができるのです。人にごまかしますし、逆に人々からごまかされたのです。彼はこうした人格の持ち主だったのです。けれども神様が彼の一生涯のうちに共に居られましたので、ヤコブは富、名誉をも神様から与えられたのです。もちろん彼は回心して、主と共に歩む信仰者となったわけですが。つまり、主が人間と共に居られることは、人間にとって祝福となるのです。

  イエス様から弟子として選ばれた十二名の弟子たちについて考えてみましょう。彼らは信仰的な面、人格的な面でもあまり弟子となる資格は足りなかったです。それにもかかわらず、イエス様は三年間共に居られ、一緒に歩んで下さったのです。こうしたことで、彼らは密やかに変わっていて、やがてイエス様の弟子として相応しい働きができる本当の弟子となっていました。使徒の働き２：４３をみると、弟子らによって不思議なわざとあかしの奇跡が行われ、それによって当時の人々の間には恐れが生じたのです。神様はご自身の者として呼ばれた者らと共に居られるのです。これは選ばれた人間にとって訓練となり、また祝福となるのです。さらに、こうしたことを通して信者は神様の弟子として相応しい働きができるようになるのです。

　福音宣教のために
  三番目に、神様は私たちをイエス・キリストの十字架の福音を宣べ伝える弟子として選ばれたことなのです。１４節に「そこで、イエスは十二弟子を任命された。それは彼らを身近に置き、また彼らを遣わして福音を宣べさせ」というふうに書かれております。イエス様が弟子らを招いた目的は、イエスの働きである「神様の福音を宣べ伝えさせる」ためなのです。

  パウロがエフェソで伝道したときの物語です。ある日彼はユダヤ人の会堂に入って、約三ヶ月間、「神の国」のことについて大胆に論じ、人々を説得しとうとしました。その後、神様はパウロの手を通して目覚しい奇跡を行われました。パウロが身に着けていた手ぬぐいや前掛けを持って行って病人に当てると病気は癒され、悪霊どもも出て行くほどでした。そこに、ユダヤ人の祭司長スケワという人の七人の息子いて、彼らはパウロがやったことと同じようなことをしました。その時悪霊は彼らに「イエスのことも知っている。パウロのことも知っている。だが、一体お前たちは何者なのか」と言ったのです。そして悪霊に取りつかれている男が飛びかかって押しさえ付け、ひどい目に遭わせたのです。その結果彼らは裸され、家から逃げ出したのです。

  病人を癒すことがパウロの目的だったのではないのです。パウロにとってイエス・キリストの福音を宣べ伝えることが一番の目的でした。神様から与えられた使命を果たしようとしていたとき、そうした召命に忠実していたとき、神様からパウロは力を与えられ、神的な奇跡を行ったわけなのです。弟子としての「正しい自覚」をしていたので、パウロは超自然的な奇跡も可能となったのです。招かれた目的をよく自覚し、そうした召命に忠実することは神様が求めて居られることなのです。「目的意識」を最も明確すべきです。