ヨハネの黙示録３：１４－２２　　　証人としての教会　　　

　　１００年ぶりの天国
　　１００年ぶりの天国という笑い話があるのです。内容を紹介して頂きます。ある日、５０年以上、教会で熱心に信仰生活を送った「執事」さんが召されて、天国に行きました。入り口に入ると、ペテロさんが来て、この執事さんに「よく来ました。おめでとう」と言ってくれました。その時、この執事さんは、真正面からイエス様が自分のところに走って来られることを目撃して、「ああ、イエス様が私を迎えるために来られるのだなあ」と思っていたが、その予想を裏切って、イエス様はそのまま、入り口に方に走って行かれました。そして、入り口である老人を抱きました。わけが分からなかった、この執事さんは隣のペテロさんに、そのわけを聴いてみました。「なぜ、あんなにイエス様が喜ばれるのですか。あの老人は誰ですか」と。そうするとペテロさんは「実は、あの老人は１００年ぶりに天国にきた神父さんだ。だからイエス様があんなに喜ばれるのだ」ということでした。

　　教会における二つの使命
　　教会はキリストの証人の集まりであり、従って教会はキリストの証人なのです。証人としての教会には二つの使命があるのです。一つは「信者の母親としての使命」であり、もう一つは「宣教の働き」です。前者は、すなわち「信者の母親としての働き」というのは、信者を養うことなのです。教会の内部に向けての「宣教」なのです。まるで、母親が子供を大人になるまで、育っていくことと同じように、教会は信者を天国に入るまで、育って、見守られてあげなければならないのです。一人の罪人が救われ、立派な信者となるように教会は働かなければなりません。これが教会に与えられている「信者の母親としての使命」です。

　　後者、すなわち「宣教の働き」というのは、「なぜキリスト教なのか」ということを問いつつ、教会の外側に対してイエス・キリストのことを「証しすること」なのです。教会はこの世に向けて、キリストの救いの働きを宣べ伝えなければなりません。福音宣教というのは、キリストに命じられた大きな働きなのです。「福音宣教」と「母親としての働き」というこの二つ使命は、教会を動かす二つの「輪」です。まるで輪が二つになってない自転車は乗ることができないように、福音宣教」と「母親としての働き」というこの二つ働きは、教会を前進して行かせる「輪」なのです。もし、二つの中で一つの「輪」を失うと教会は死んでしまうのです。健全な教会の形成は出来なくなるのです。教会が生きている証は、「証人としての使命」を全うしていることの意味なのです。健全な教会は「証人としての働き」によって形成されるものです。今朝は、いわゆる「証人としての教会」を形成するために、どう生きていくべきなのか、ということについて考えていきたいと思うのです。

　　岩のような信仰
　　いわゆる「証人としての教会」は、神学的な議論、あるいは思想的な論争によって形成されるものではありません。そのようなものは一つの道具に過ぎないからです。健全な教会の形成のためには、私たちの信仰が必要なのです。「岩のような信仰」が要るのです。それは神様に向けての熱心であり、誠実な信仰です。

　　「私はあなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらであって欲しい。熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとする」（１５－１６）。

　　これはラオディケア教会に向けての神様の叱責です。彼らの信仰はなまぬるいものであったからでした。神様に対する熱心さ、また誠実さが欠けていたことを意味するのです。もし、私たちが温泉に行ったとき、そこの水がなまぬるかったら、私たちは二度とその温泉には行きませんね。また、お勧めもしませんね。その温泉は温泉としての相応しい資格を失っているからです。

　　教会はまさに温泉のような存在です。神様が「むしろ、冷たいか熱いか、どちらであって欲しい」と言われた時、それは、どちらかを選びなさいという意味なのです。信仰的に熱い教会は、熱い水で、霊的に病んでいる人々を癒してあげることができるのです。もし、教会が冷たいならば、それは乾いている魂に冷たい水をあげることができ、そうしたことによって彼らに「爽快感」をあげることをもできるのです。

　　「なまぬるい信仰」を叱責していることは、神様に向けて「決断」しなさいという意味なのです。片足はこの世に、片足は神様の方に、おいている教会が「なまぬるい教会」なのです。これは、教会として命を失っている教会です。霊的に「熱い教会」は、イエス・キリストの心臓を証しすることができるのです。キリストの愛を証しすることができるのです。「冷たい教会」はキリストの慰めを与えられる教会を指すのです。キリストの柔和、キリストの安らぎを与えられる教会、それが、神様が求めて居られる教会なのです。しかしながら、これらは分けて考えることはできません。教会が霊的に熱くなると、その教会の働きを通して、私たちはキリストの心臓を感じると同時に、信仰的に乾いている私たちの心に爽快感をも与えられるからです。

　　従って神様が「むしろ、冷たいか熱いか、どちらであって欲しい」と言われたことは、同じ意味なのです。常に、神様に向けて、またこの世に向けて、熱心であり、誠実さを保ちつつ教会となって欲しい、ということなのです。

　　自己満足感を棄てること
　　次に、健全な教会を形成するためには、常に自己を否定し、自己満足感より自由にならなければなりません。私たちが抱いている問題の中で一つは「自己を肯定する」ことです。それは、現実に安住しようとすることなのです。

　　「あなたは、私は金持ちだ。満ち足りている。何一つ必要な物はないと言っているが、自分が惨めな者、哀れな者、貧しい者、目の見えない者、裸の者であることが分かっていない」（１７）と、神様はこう叱責しているのです。

　　つまり、私たちは今、私たちが信仰的にどのような状態にあるのかを、よく分かっていません。信仰的な自覚が足りないのです。私たちが私たち自身を判断する時、その基準は「キリストの目」なのです。この世の中で立派に世帯を構えている集会も、キリストの目からみると、貧しく、盲目で、裸なのであります。

　　私たちは私たちの弱さを知るべきなのです。キリストがいなければ、私たちの信仰はなまぬるくなり、健全な教会の形成はできなくなるのです。キリストの元にのみ、真の富、完結した救い、本当の癒しがあるのです。証人としての教会は、キリストによって信仰が精錬される教会です。証人としての教会はキリストが着かせてくださる「服」を着る教会です。証人としての教会はキリストの霊による自覚をもち、それに従って全てのことを判断していく教会なのです。

　　神に立ち返る
　　最後に、証人としての教会は、神様に立ち返り、神様に向けて心の扉を開く教会なのです。神様に立ち返ることは、神様からの「呼びかけ」なのです。

　　「私は愛する者を皆、叱ったり、鍛えたりする。だから、熱心に努めよ。悔い改めよ」と。

　　証人としての働きを全うする教会は「神様に立ち返る」教会なのです。神様が私たちに悔い改めることを強く呼びかけていることは、神様の愛によることなのです。神様が私たちを愛して居られるから、私たちが神様に立ち返ることを求めて居られるのです。神様の呼びかけは満ちたり、なまぬるい私たちを揺り起こし、反省させようとすることなのです。

　　悔い改めることというのは、方向転換を意味することなのです。神様に背いていた私たちが神様に向けて歩み出すことなのです。神様に対して閉じた心の扉を開くことであるのです。なまぬるい私たちですが、神様は私たちが心の扉を開くと、喜んで迎えてくださるのです。証人としての教会になるためには、常に神様に向けて心の扉を開く教会であり、神様に向けて方向転換して行かなければならないのです。

　　「見よ。私は戸口に立って、たたいている。誰か私の声を聞いて戸を開ける者があれば、私は中に入ってその者と共に食事をし、彼もまた、私と共に食事をするであろう」と（２０）。

　　ホセア書１０：１２でホセアは次のように進めております。「主を求める時が来た。ついに主が訪れて、恵みの雨を注いでくださるように」と。イエス・キリストにあって私たちを救ってくださった神様は、神様に立ち返ろうとする教会を決して棄てることはしません。むしろ、神様はキリストにあって悔い改め、なまぬるい信仰から岩のような信仰を頂こうとする教会に対して、勝利を与られ、詩篇１３２：１３－１８において約束なさったように、飽きるほどの満足を与えられるのです。

　　社会のモデルとして
　　私たちが生きているこの世界はますます激しく変わりつつあるのです。昔は、神様が定められた法則に従うことが人間の生き方でありました。しかし、現在は人間が「神を演じる」ようになってきました。生命操作が可能となったことなのです。人間が「命の木」に手をかけ、堕落が起ころうとするのです。教会の叫び、また聖書の教えは、キリスト者らの内面的なこととして斥けられているのです。その結果教会はますます「社会の片隅」に追いやられて、「ゲットー化」が生じているように見えます。確かに「終末」なのです。終わりの時、文化に対して勝つために、さらに福音を宣べ伝える教会になるためには、教会の体質の改善が求められるのです。

　　神様に向けて、またこの世に向けて、熱心であり、誠実さを保ちつつ教会にならなければなりません。キリストの元において、キリストの霊による自覚をもち、それに従って全てのことを判断していく教会となるべきなのです。さらには常に神様に立ち返る教会とならなければなりません。証人としての教会はこうした教会なのです。ここに終わりの時を生きている私たちの意味があるのではないでしょうか。